※ネタバレ注意
『クリード』シリーズの第三作品。
ボクサーを引退したアドニスが復讐に燃えるムショ帰りの親友とバトルする話。
公開当時の評判がやや悪かったので（ああ、遂にマイケルBジョーダンもやらかしたか）といった感じで『ロッキー5』を思い起こしながら見てみたら、意外とまともな作りでびっくりした。
一番良かったのが過去のライバルが再登場する所かな。
0からチャンピオンに返り咲いた男が凶暴化する展開は『ロッキー』のテーマの裏返しになっていて面白い。
ただ、本作はそのまともさが悪い所にも直結していて、はっきり言ってしまうとストーリーが大味でパンチが弱い。
『ロッキー』や『クリード』にはあった心にガツンと響く描写がほとんどないのが残念。
『ロッキー』には、チンピラ同然の男がある時偶然チャンスを掴んで一心不乱で突き進んでいくという、一瞬目を離したらストーリーがどこに向かうのか分からない危険性があって、それが作品の面白さにも繋がっていたけど、『クリード』は違う。
裕福な家庭で育った男が一流の企業に就職したにも関わらず、体の中の眠る闘争本能が目覚めたのでボクサーに転身する系列で、作品自体が超大真面目なタイプだ。
やらかすにしても主人公には理性があるので一線を越えることはしない。
そういった所謂インテリなお家柄がモロに表れてしまったなと思う。
『クリード』シリーズは全体を通して見てみると、挫折と復活の要素が弱いと思う。
クリード一家が何かの拍子に全財産を失って0から這い上がっていく、そんなストーリーが一度見てみたいなと思わされた。
ボクシングの演出についても、日本のアニメのバトルシーンを意識した演出はとても映える一方で、『クリード1』で完成されていたリアルな試合を見ているかのような臨場感が薄くなったように感じる。
ただ、これは今までのシリーズには無かった要素なので、次回作があるとしたらより精密になって欲しいところ。
クロスカウンターが炸裂した場面は『ロッキー』と『明日のジョー』がコラボしたようで嬉しかったな。
あと、本作のクリードの立ち回りについて。
チャンピオンとして引退したボクサーが、自分がプロデュースした試合が大荒れしたので復帰し、試合に勝って再びチャンピオンに返り咲いた。
めっちゃアンチ増えそう。
特にドラゴ銃撃の真相が世間にバレたら大炎上しそう。
仮に大炎上したらアドニスはどうするんだろうなと思わされました。
