ギズモX

FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN COMPLETE 4K REMASTER版のギズモXのレビュー・感想・評価

4.9
MOVIX京都で鑑賞
まさかクラウドを映画館で見れる時代が来るとは。

国産RPGゲームの金字塔『FF7』本編の二年後を描いた映像作品。
ラスボスのセフィロスを倒して世界を救ったものの、罪の意識に苛まされ根暗な性格に戻った主人公クラウドが、マザコンを拗らせたセフィロスの思念体と盛大にバトる物語。
映画というより、ゲーム中のムービーを一つの作品として昇華させた、ゲームコンテンツの新たなる形を提示した傑作。

本作の最大の特徴は、やっぱり綺麗すぎるCG技術と、CGをフル活用したアクション描写!
映画版『ファイナルファンタジー』の反省もあってか、『FF7』内における難解な設定は鳴りをひそめ、「世界を救った設定のキャラクターだし、全員LV99だから人間辞めててもええやろ」と、登場人物のほぼ全員を超人化させ、多種多様なバトルシーンをスタイリッシュに魅せている。
初めて鑑賞した中学生当時の頃は、その人体の動きを遥かに超えたドラゴンボール×マトリックスな超絶アクションの連続に大興奮の嵐だった。

ストーリーは今見てみると、サイドストーリーを付け足すスクエニ名物完全版商法の影響もあってか、かなりとっ散らかってる。
特にデンゼルやザックス関係の話は、小説やOVA、外伝作品『CCFF7』をやっとかないと理解しにくい。
(それと個人的には『CCFF7』はあまり好きではない。ザックスは過去が明かされてない方が魅了的だった。それにディレクター野村哲也氏による独特な世界観も『FF7AC』が発売された当時と今とではかなり違っていて、あの頃はダーク&メタリックなビジュアルが強くてとにかくイカしてた。)
僕はこの『ACC』よりもオリジナルの『FF7AC』のほうが好きだな。『FF7』も『KH2』までが一番好き。

でも、『FF7』が、実はセフィロスの操り人形でしかなかったクラウドが、星を守る為に死んだエアリスの意思を継いで、ジェノバと一体になったセフィロスと対峙する、星と星を支配しようと目論むジェノバとの代理戦争という形だったのに対して、『FF7AC』ではクラウドとセフィロスはほぼ対等な立場として扱われており、本編以上にキャラクターのセンチメンタルな心情に焦点が当てられている。
そして何より重要なのがセフィロス戦!
クラウドの前に立ちはだかるのが変なイカでもイベント戦な精神体でもなく、伝説のソルジャーとしてのセフィロスであり、しかも決戦の舞台が廃墟と化した神羅ビルなのが粋。
ラスボスが超弱いという『FF7』最大の無念、描ききれなかったクラウドとセフィロスの激突をここで思う存分にやりきってくれた。
これこそが本作の最大の評価点である。
クラウドと闘う時のセフィロスの嬉しそうな姿を見てると凄く微笑ましくなります。

正直、本作に点数をつけるとなると、今までの興奮と憎悪でグニャってなるけど、僕はこれを見て育ってきたんすよ。
『FF7』というコンテンツをズルズルと引きずっている内に、すり減るどころか身体の一つと化した感すらある。
『FF7』は思い出にはならないさ。

ここからは映画館で見た時の感想。
『ACC』が上映される直前に『FF7リバース』の予告編が流れたのがまず衝撃的だった。
だって映画館でゲームの予告編だよ?!
なんていうか、昔はゲームと映画は別の媒体として扱われていたけど、それが今ではほぼ同列になってきてると感じた。

肝心のグラフィックは超綺麗に仕上がってて、20年前に制作されたのが信じられないほど。
一番感動したのがセフィロスが登場するシーン。
「久しぶりだなぁ、クラウドォ」とここだけセリフを立体的に響かせていて、劇場公開するにあたってスタッフ相当キメたなと思いました。

リマスター上映なのにほぼ満席で笑った。
片翼の天使が大轟音で聴けて凄く幸せ。
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