名探偵コナンでお馴染み目暮警部の名前の由来となったメグレ警視が主人公のこの映画。90分弱の短さながら上手く纏まっていて、面白かった。
目撃者のいない中発見された女性の刺殺体。シルクの高級ドレスを唯一の手掛かりに犯人捜しを始めるメグレ警視だけど、この映画はメグレの謎解きではなく、殺されてしまったルイーズの背景を、パリに巣くう闇を、浮き彫りにしていくものだったと思う。
パリに憧れ田舎から上京してくる女性たち。そのパリで悪意に絡め取られたルイーズ。偶然メグレが出会ったベティは、その一歩手前という感じで、その危うさにメグレはルイーズを重ね、そしてベティの若さに自身の子どもを重ね合わせたように思った。ベティを通して垣間見えたメグレの描かれなかった過去。それもまた、この映画に陰を与えていたようだった。
老獪なメグレが解き明かす事件と解きほぐす人の心。派手さはないし、ほぼほぼ犯人が分かっている状態ながら、クラシックさが素敵な映画だった。
#34_2023