Maki

ゴジラ-1.0のMakiのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.0
監督:山崎貴
公開:2023年


🛑ネタバレあります🛑


友達にお誘いいただき初日に観てきました。そもそもゴジラ愛が薄いのでさもありなん。『シン・ゴジラ』は劇場9回通うほどハマったけど、これは。

●ゴジラ
予告から想像するレベルの映像は楽しめた。
ゴジラの巨大感や顔面力、銀座襲撃、旧日本海軍艦船を駆ってのワダツミ作戦は伊福部昭テーマ効果も加わり見栄えがある。雪風元艦長(田中美央)もよいお顔だ。

ただ興奮するには至らず、もっと度肝を抜いてほしかった。恐怖や畏怖に満たされたかった。「VFX!」「オマージュ!流用!」と没入感が削がれる。都合よく移動して攻撃して余計な事はしないゴジラは安心設計アトラクションか。


●人間ドラマ
戦争で死に損なった青年がゴジラに復讐する大筋はよいのに演技と演出で大損している。巧い役者が揃い、別作品でその演技に泣かされた役者も居るのに、セリフ読んでます!説明してます!喜怒哀楽演じてます!もう恥ずかしくて恥ずかしくて。

それに「危機一髪で仲間の船たくさん」「敷島(神木君)が特攻!実は生きてました」「典子(浜辺美波)が行方不明!実は生きてました」「ゴジラ轟沈!実は生きてました」など誰が見てもオ約束展開にやたら泣いたり叫んだり殴ったりも無理、性に合わない。

とはいえ世間でもFilmarksでも絶賛の声が溢れているので創り手としては作戦成功なのかな。


●太平洋戦争観、原子爆弾観
山崎貴監督のこのへんわからない。復員兵への罵倒。戦争は終わっていない。あなたの戦争は終わりましたか。謎の問いかけ。謎の敬礼。

数年前、零戦に一回搭乗しただけなのに初飛行の震電でゴジラを翻弄できる天才:敷島。

戦後の復興に重ねて自己犠牲を否定しても、このあと初代ゴジラ(芹沢博士の自己犠牲)につながる示唆は皮肉。

受け入れがたいのは「キノコ雲と黒い雨」。銀座が広島や長崎の如く被爆被曝した様も見せず、敷島も元気なまま。「キノコ雲と黒い雨」をその場限りの派手な絵として使ったなら哀しい。
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