Maki

窓ぎわのトットちゃんのMakiのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.5
監督:八鍬新之介
公開:2023年
1回目:劇場
2回目:劇場


🛑ネタバレあります🛑


最近は好評映画も響かないことが続いていたので恐る恐る。更に「黒柳徹子さん原作の有名な児童書」としか知らず。でもその無知が功を奏したか、飛び込んだトモエ学園の授業は素晴らしかった。

押しよせる戦争の延焼に。
押しかえす教師の矜持に。
子どもらの日々の喜々に。
かけがえのない幼な心に。
涙をぬぐおうと想わなかった。
また何度でも観たいと想った。

ときに絵柄を変えて踊る豊穣なイマジネーション・アニメーション。逆に敢えて映さずに映しだす、語らずに語りかける心情表現も巧み。全編そこらじゅうにやさしさとおそろしさが潜んでいて目が離せない。

特にあの「突然の喪失」からトットちゃんが街をかけぬけるシークエンスには圧倒された。それまで彼女には見えなかった、見ようとしなかった現実の塊が一気に襲いかかる。成長痛のうねりに飲まれてゆく。



友だちの泰明ちゃんはもうひとりの主人公。トットちゃんに負けないくらいその心は躍動している。まさに活き活きと。どのシーンでも彼がどこに居てどうしているか見つめていた。君のこと忘れないよ。



声優さんも知らずに観たから校長先生の聞き覚えあるいい声、誰だろと想ったら役所広司さんだったとは。
トットちゃん役の大野りりあなさんも泰明ちゃん役の松野晃士くんも天才か。小栗旬さん、杏さん、滝沢カレンさんもみんなよかったです。



映画は素晴らしかったのに残念なことが。
おばあさん5人組が少し離れた席に居て「ああやって一緒に映画を観に来るのいいな」と眺めてたら、これがマナー最低。鑑賞中も5人でしゃべる(ここまではギリ許容範囲かと想ったけど)、ビニール袋ガサゴソして持ち込んだお菓子を食べる、スマホを開いてまたしゃべる。最悪は「お葬式の場面」でもスマホを鳴らして、止め方がわからないのかまた5人でわーわー騒ぐ。静かな環境でもう一度、観たいよ。



2回目は無事に集中没入できました。
Maki

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