Maki

モガディシュ 脱出までの14日間のMakiのレビュー・感想・評価

4.0
原題:Escape from Mogadishu
監督:リュ・スンワン
公開:2022年
視聴:U-NEXT


🛑ネタバレあります🛑


2年前にドラマ『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』に心ズタボロ(大賛辞)にされてから、韓国の映画やドラマを次へ次へと観始めた。知っている俳優が増えると別作品での再会、役柄のギャップも楽しめるようになって嬉しい。

韓国のハン大使(演:キム・ユンソク)は映画『チェイサー』や『哀しき獣』では濃いーキャラだったけど本作では面倒くさがりな堅物官僚。後半にかけてだんだん皮が剥けてゆくところが巧い。

北朝鮮のリム大使(演:ホ・ジュノ)は映画『人狼』で見かけた。国家の呪縛、プライドも捨てて仲間の命を助けようとする姿が印象的。

韓国のカン参事官(演:チョ・インソン)はこの夏ドハマりしたドラマ『ムービング』の飛行能力者キム・ドゥシクですっかりファンに。
ああ!ドゥシク先輩! 
本作では直情型でヤリ手、北朝鮮を毛嫌いしてもいるが、終盤は決死の脱出作戦を先導する。

ソマリア内戦勃発からの対立する南北朝鮮の呉越同舟、ややこしい題材ながら臨場感と疾走感たっぷり。凄惨と娯楽まで一挙両得、お見事です。

現地の警察、政府軍、反乱軍、民間人どれもリアリティを感じられるし、無邪気に小銃で威嚇したり乱射してくる少年なんて本気で怖ろしい。

ラストシーンが秀逸。
ハン大使やカン参事官は北朝鮮のバスに顔を向けるのか、リム大使は韓国のバスに一礼するのか。彼らが一瞬でも目線をかわせば、それはそれでぐっとくるかもしれない。
しかし、互いに向けたままの背中、辛苦と覚悟が宿る。まさに「これしかない」エモーショナルな演出に息を呑んだ。
Maki

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