『ゴジラ−1.0』。誤解を恐れずに言うと、内容にブレは感じました。
それは〝ハッピーエンドで終わらせたい〟思いと〝本当はもっと悲劇的に破壊的にしたい〟思いのせめぎ合いがひょっとしたら山崎貴監督の中にあったんじゃないかなと感じたのです。
ただ最終的には山崎監督の人の良さが出た、と。
作品のテーマとして、〝かけがえのない生命、その大切さ〟というものがあると思います。ただそのテーマを引き立たせる為に、死の悲しさや破壊の悲惨さを対比として描く必要も出てくる。
負の方向に物語を引っ張り切る選択肢もある中で、山崎貴監督は万人に広く感じてもらう方向を取った、と感じました。
作品に対する感想の中で、人の命に関する倫理観が現代のもので、当時のものを正確に反映していないんじゃないかというものがWEB上で流れていたように記憶していますが、そこはあまり気になりませんでした。
物語に必要なのは、今を生きる人々が共感できることであり、必ずしも歴史の精緻な再現ではなくても良いというのは、個人的な印象です。