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竜とそばかすの姫のiroのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.5
細田守監督が作品に込めたメッセージは明確であり、そして力強かったと思います。SNSという現代的なテーマが、内気な少女の成長譚という古典的なストーリーに載せながら展開されていく。

観ていて印象に残ったのは、性悪説に立った人間描写をしているのかなと感じる場面が多かったこと。全体的にデジタルでモダンな描写なので、陰湿な表現もカラッとはしているのですが、これは例えばジブリや新海誠監督とも異なる表現の方向性だと感じました。希望は作中で描くのだけれども、人間の持つ毒の部分も薄めることなく差し込んでいく。

ストーリーに予定調和の部分はあったとしても、「この物語を通して何を伝えたいのか」、その点にぶれは無いので作品の価値が落ちるということは決してありません。加えて音楽、特に主人公のすずを演じる中村佳穂さんの存在感が、作品の魅力をより高めていたと思います。
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