Kamiyo

リオの若大将のKamiyoのレビュー・感想・評価

リオの若大将(1968年製作の映画)
3.5
1968年”リオの若大将”

マドンナ澄ちゃんよ さようなら

ようやく大学を卒業する若大将。あの顔で「京南大学の田沼です」と
自己紹介するのはさすがに辛いものがあります。
シリーズ10作目にして、大学生の若大将としては最終作だ。
既に三十路を越えていた加山にいつまでも大学生をやらせるわけにも行かなかったのかもしれないが、今観ても別に違和感はない。
さすがに加山より5才上の田中邦衛には無理があるが
これとて見慣れたコンビなので、別に不自然さも感じない

マドンナ澄ちゃん役の星由里子が本作を最後に降板してしまう
それを念頭において観ると、何やらもの悲しさも漂ふ映画であります。

レギュラー陣も定着し、すっかり市民権を得ている
本シリーズは登場人物の役柄も変わらないが
澄ちゃんだけは毎回登場するくせに
若大将と初めて出会う設定というのがミソだ。
本作でも二人は日本を遠く離れたリオで出会う。
いつもきれいな澄ちゃんが本作では輪をかけてきれいだ。
女の子には興味がないと言っていたウブな若大将も、
澄ちゃんのあまりの美しさにすっかり見とれてしまい、
恋に落ちるというお決まりのパターンだ。
しかも邪魔が入って簡単には成就しないというのもお決まりだ。
毎回、邪魔をするのは若大将の親友の青大将

若大将が取り組んでいるスポーツはフェンシング。
若大将が修行として座禅を組むけど喝を入れる和尚に今東光が扮しているという意外なキャスティング。
彼の助言のおかげもあってフェンシング大会で優勝できる。

早朝のコパカバーナの海岸で一人ギターをつまびきながら
名曲「ある日渚に」を弾きながら子供たちとポルトガル語を交わすシーンは旅先の情緒もあって印象深いシーンだった。
シリーズの初期の頃度々登場したカンニングシーンが久しぶりに復活。青大将がペン型の無線機で外にいる江口と通話して答えを教えてもらう。あの頃流行っていた「ナポレオン・ソロ」を思い出しました。

青大将の車のカラーやパーティシーンのサイケデリックな彩りが
時代を感じさせてくれます。
日本がまだまだ元気な時代、高度成長期の初期で、
とことん明るい本シリーズはその象徴とも言えよう。
Kamiyo

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