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怪物のUのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

言葉が無いとはまさにこのこと。
無理解によるコミュニケーションの断絶と普遍的に人が持つ無意識的な加害性をひたすら描写し続ける映画。
誰もがナイフを持っていて、無意識に人を殺してしまう加害性を持っている。それは誰の身の回りでも起こってることで、だからこの映画は恐ろしかった。

第一部の無意識な母親の言葉で追い詰められる湊と学校の大人の描写が辛すぎて割とダメかもって思った。映画館で本気で退席したくなったのは初めてかも。
望まれる幸せが自分に適用されなかった時の絶望と孤独。
その分、保利が湊の本意に気付いた場面は泣けた。唯一救いを感じた場面。

草原とか電車の中とか色々印象的な場面も多かったけど、一番印象に残ってるのはトロンボーンを吹くところ。動物のような泣くような音が声にならない声の表現として秀逸だと思った。

多分関係ないけど、あの貨物列車が走る線路はスタンドバイミーが頭を過った。
彼らは大人になるための通過儀礼をあの線路で味わうことになるが、湊と依里には最初から閉ざされている。そして「生まれ変わる」ことでしか出発することが出来ない…。
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