えるどら

コカイン・ベアのえるどらのレビュー・感想・評価

コカイン・ベア(2023年製作の映画)
3.5
ホラー&コメディのアニマルパニック映画!正統派で面白いぞ!

話題になってた映画がレンタルしていたので視聴。B級な感じかと思ったらちゃんと面白くて驚いた。バラバラなキャラクターたちがそれぞれの目的で森に集まってくる序盤、熊が暴れ始めて人数が減っていく中盤、残ったキャラが集結して熊から逃げのびる終盤でどれも面白かった。

作中を一貫する熊の怖さが作品全体に緊張感を持たせていて良かった。ラストで安易に熊を殺してハッピーエンドにしないのもこの作品らしさが出ていてすき。自分は山間部の生まれなので熊の目撃情報に関しては幼い頃から身近だったんだけど、やはり熊という生物は恐ろしいと改めて感じた。車と並走、木登り余裕、水陸両用、80㎏にもなる体重を持ち、鋭利な爪と牙を持つ。こんなバケモノが身近に生息しているの怖すぎる。だからこの作品は「コカインが怖い」ではなくて「熊が怖い」映画だった。てっきり「コカインは怖いんだよ」かと思ってたらめちゃくちゃモンスターホラーみたいな感じでビビり散らかした。

例に漏れずたくさんの人間が次々に死ぬんだけど、その死に方・演出も良かった。お気に入りの演出はレンジャーの心臓に聴診器を当てて心音を映像に流すというやつ。緊張最大からの「bear…」ASMRで一気に解放するのもいいね。救急車での追いかけっこも見せ方良かったね。ジャンプスケアが多かったのはシンプルにしんどかったけど、作風的に仕方なし。

獣害について考えたとき、私はどうしても「NOPE」が頭をよぎる。自然・動物の膂力が暴走したとき、人は無力に翻弄される。コカインをばら撒くなんてことは滅多に無いとは思うけれど、野生動物や自然環境との向き合い方は社会問題のひとつだ。この前もOSO18が話題になったように、昨年は全国的に熊が大量出没したように、我々人間が自然に対して行った行為が巡り巡って牙を剥いてくる時期なのかもしれない。熊に出会う人間が、人間に出会う熊が、今年は一人でも一匹でも減りますように。

奇抜な設定からお馬鹿映画かと思ったら正統派に面白いモンスターパニック映画だった。コメディもたっぷり入っていて飽きさせない。役者の皆さんも、キャラクターたちも最高だった。
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