驚異的な背景作画とミュージカル音楽が織りなす古典名作ディズニー映画。
金曜ロードショーにて鑑賞。
あの時代のディズニー映画でなぜかずっと見たことがなかったので、これ幸いと見てみた。
15世紀パリを舞台とする本作は何と言ってもその背景作画が美しい。
鐘付き堂(っていうのかわかんないけど…)が物語の中心なので教会はもちろん、カジモドが飛び回る屋根や彫刻、あらゆる建造物が綺麗で驚いた。
公開から20年以上経過しても全く色褪せないどころか、見入ってしまうような世界観は素晴らしい。
脚本は王道かと思いきや、少し捻ってあり、とても自分好みだった。
てっきりカジモドがエスメラルダを助けてくっついて終わりだとばかり思っていたからだ。
醜い容姿だけど愛があればOKだよね、みたいな感じじゃなくて、ちゃんとフィーバスとくっつくのが意外で良かった。
というのも、この物語はキリスト教的価値観が全体を包んでおり、カジモドが英雄として受け入れられるためには”見返りを求めない純粋な愛:アガペー”が必要だったのだ。
「エスメラルダに愛されるために助けに行く」ではなく、「エスメラルダの心は自分に向いてないけれど大切な隣人・友人として助けに行く」ことが必要だった。
また、フロローがエスメラルダに恋焦がれるのも意外だった。
暖炉の前での告白で、フロローも愛には敵わないというか、人間らしいというか、ただの嫌なヤツに終わらない、かえってヴィランらしい良いキャラになった。
こっちは見返りだけを求める不純すぎる愛情、愛憎、支配感情。
金曜ロードショーで見たいディズニー映画として多くの人々に支持されるのも納得の名作だった。
カジモド、エスメラルダ、フィーバス、そしてフロロー。
どのキャラも魅力的でこれから先も色褪せることの無い素敵な戯曲であり続けるのだろう。