リーアム兄さん

君たちはどう生きるかのリーアム兄さんのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.6
10年前の『風立ちぬ』では、自分の好きな航空機の設計者である主人公にクリエイターとしての苦悩と価値観を投影し、映画監督が生涯に1本は作るフェデリコフェリーニの『8 1/2』的な作品であった。アルフォンソキュアロンの『ローマ』、ケネスブラナーの『ベルファスト』、スティーブンスピルバーグの『フェイブルマンズ』、自伝的映画を作って賞を狙うのがトレンドの今。年齢も年齢なので最後に『ターミネーター2』、『エイリアン2』、『アバター2』ジェームズキャメロン的に続編をヒットさせることに挑戦するため『風の谷ナウシカ2』を描くかと思いきや、『ルパン三世カリオストロの城(長編初監督作原点回帰)』×『ハウルの動く城(木村拓哉と再タッグしたかった)』×『イニシェリン島の精霊(最近観て気に入った)』を通して描くアバウト・タイム。不都合な日常や真実から目を背けて完璧な楽な人生を送るよりも、たとえ辛くても一瞬の喜びや綻びのため人間らしい生き方を選択する。アニメ作品を完成させるため、寝る間も惜しんでひたすら作品作りにコミットし続けてきた宮崎駿の人生の集大成。大衆迎合しなくてもミーハーな客は呼べるので、末期2作品は観客おかまいなしに監督の好きなことを描く、個人的な作品に仕上げてきた。お疲れ様でした!