リーアム兄さん

プロミシング・ヤング・ウーマンのリーアム兄さんのレビュー・感想・評価

4.3
キャロルやララランドのようにカラーコーディネートされたポップな映像と共に繰り広げられる男達への復讐劇。タランティーノ映画とは異なる立ち上がる女性をキャリーマリガンが演じる。男性優位女性蔑視の炭鉱労働で起きたセクハラに立ち向かうために、法廷で立ち上がるシャリーズセロン主演「スタンドアップ」を彷彿とさせる、弱き者の心の叫びを表現。朝の情報収集から取引所終了まで働く証券マン、生命保険などのフルコミ営業マン、肩書き武装で実は低収入若手コンサル、ストレスフルな労働の後のストレス解消法といえばバーやラウンジで女の子を持ち帰ること。本作は身動きの取れない女性に対し、穴熊のように弱い獲物の穴を狙い撃ちする男達への切ない復讐劇。なぜ彼女は夜な夜な派手な衣装で男をたぶらかし、逆に男達を狩り続けるのか・・脚本賞を受賞するだけあって、次の展開が楽しみになるストーリラインに心躍る。彼女をキチガイ女と捉える者もいれば、何もできない無力感を経験した女性陣は共感の嵐かもしれない。某私立大でも親の権力を利用したレイプ・強姦の揉み消しや、官僚時代のポストを利用し交通事故の罪から逃れようとするニュースが飛び交う現代。アメリカのフラタニティで起きた若気の至り、全ては仲間にそそのかされたからだと言い訳をする。しかし被害者の心の傷は一生消えることのない。そんなことも知らず、飽きずに獲物を狙い続け、その過去の過ちをを無かったことにし、自分たちだけは幸せになろうとする。そんなことは許さない、処罰されないのであれば私がやってやる、執行人キャリーマリガンの予期せぬ行動にハラハラの連続。次に何が起こるか楽しみでしょうがない、一見の価値あり!