ひろぽん

君たちはどう生きるかのひろぽんのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
2.9
太平洋戦争中の1944年、眞人少年は火事で母親を亡くしてしまう。数年後、眞人は東京を離れて大きな屋敷を持つ父の故郷へ行くことになる。屋敷には眞人の母の妹・夏子が父の再婚相手として住んでおり、夏子のお腹には眞人の弟か妹かになる赤ちゃんを身篭っていた。屋敷に到着すると、まるで眞人を待っていたかのように、一匹のアオサギが屋根から庭へと飛び回っていた。謎のアオサギと洋館を巡り、不思議な世界を冒険していく物語。


宣伝しないことが最大の宣伝になるという売り文句で、全くの前情報が明かされないまま公開するジブリのマーケティングぶりは本当に凄い。

ストーリーもキャストも一切明かされないまま前情報も見ずに、映画館に観に行くというのも面白かった。

率直な感想は、「考えるな、感じろ」という作品なんだと思った。劇中ひたすら考えていたが、考えれば考えるだけ意味が分からなかった。観終わってから余韻に浸りながら、考えさせられる作品だった。

主人公の眞人が宮崎駿の少年時代が投影されているとのことで、宮崎少年の当時の体験を感じることができる点としては新鮮さがある。

母親が亡くなって、その姉妹と父親が再婚したら嫌だなと思いながら観ていた。昔はこういうのが普通だった時代があるらしい。母親と顔が似ているから、眞人の年頃だと余計複雑な心境になりそう。

個人的には母親のヒミのキャラが好きだったな。特に、食パンにイチゴジャムをこぼれ落ちそうなくらいタップリ塗って食べる飯テロシーンは最高だった!

大量のインコの登場や、インコにナイフを持たせたりしているシーンにはゾッとした。アオサギのおっさんが出てくるフォルムチェンジも気持ち悪かった。子供の頃に観ていたら絶対に鳥がトラウマになる。

全体的に美しい景色と対比するように気持ち悪い描写が多い。

ジブリ作品のセルフオマージュされている描写が多々あり、探しながら観れるという面白さがあった。ただ、正直にストーリーの内容は全くと言っていいほど面白くなかった。

宮崎駿の“集大成”と言わんばかりの要素が沢山詰まっていて良かったが、自分には全く刺さらなかった。

また観る機会があったらもう一度向き合ってトライしたい。

エンドロールを見て豪華なキャストに驚いた。普通にみんな上手くて気づかなかったからびっくり!

『君たちはどう生きるか』と言うよりも『宮崎駿がどう生きたか』の方がふさわしいタイトルなのかもしれない。
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