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劇場総集編 SSSS.GRIDMANのRickのレビュー・感想・評価

劇場総集編 SSSS.GRIDMAN(2023年製作の映画)
4.0
 『SSSS.GRIDMAN』は、TVシリーズのために作られ、30分×12話という時間尺の中で練り上げられた物語である。その大前提のもとで、2時間尺の映画として再編集するとなると、どんな名医でも裸足で逃げ出すに違いない。そしてGRIDMANほど総集編が難しい作品も少ないだろう。構造がとにかく特徴的なのだ。1話の中でも30分のうち前半が問題提起と日常の雰囲気の提示、後半がヒロイックな戦闘シーンと提起された問題への応答となっている。それ自体は、特撮のフォーマットに則っている。しかし作品を全部通して見た時には、グリッドマン同盟の3人の物語として始まったものが、途中から「ひとりぼっちの神様」新条アカネの物語であることが明らかになる。全12話を一つの映画にまとめるならば、新条アカネの物語に軸を置くしかない。ただそれは表面的な主人公である響裕太と宝多六花の物語を犠牲にすることと引き換えになる。
 TVシリーズを何度も見返しているため細かいところまでもよく覚えているが、初見の人の目にはどう映るのか、今後アカネが出てくるかどうかさえ怪しい『グリッドマンユニバース』に向けてこのアプローチが良いものなのか、少しだけ不安に思うところもあるが、それはきっと杞憂だろう。バトルシーンの鶴瓶うちに苦慮の跡が見えたものの、「夢・想」のエピソードはいつ見ても尖っていて良いものだ。
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