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キングダム 運命の炎のrpmu90377のレビュー・感想・評価

キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)
3.8
物語の前半の山場は、嬴政の脱出劇。馬車の荷台に隠れて無事に趙国の城門を通過したものの、気づいた趙の大軍に追われる羽目に。多勢に無勢の状況で三人の従者が命がけで嬴政を守ろうとする姿が息もつかせぬカットの連続で描かれる。嬴政が王としての自覚を持ち群雄割拠の世を治めて中華を統一する野心を持つきっかけとなる重要なシーンだけに、製作者の力の入れようもひとしおだっただろう。吉沢亮の気品を伴った美しさと、杏の意志強固に王を守ろうとする従者を表現した力強い演技が印象に残った。

後半の山場は秦軍と趙軍の戦闘シーン。山崎賢人の信が艱難辛苦の末、功を上げる流れは前二作と同様に見ていて爽快だが、今回の立役者は王騎役の大沢たかお。常に余裕の笑顔を浮かべ「ですます」調の丁寧な物言いで指示を出すという戦国武将に似つかわしくないキャラクターは力量不足の役者では荷が重すぎてその言動に説得力がなくなることだろう。彼の将軍は回を増すごとに存在感が際立ってきており、彼の当たり役になることは間違いない。体重増量の努力ばかりが注目されがちだが、大軍を従わせる大人物を表現するために駆使されているセリフや表情作りの技術も評価されるべきだ。山崎が舞台挨拶で大沢から労をねぎらわれ号泣したとの報道があったが、戦場での信の活躍とそれを後方から見守る王騎の泰然自若の姿がオーバーラップした。

相変わらず豪華絢爛な役者が次々と登場しその出番の少なさにもったいない感が禁じ得ない。後半、ピエロのような奇抜な衣装でちょこっと出てきた小栗旬は何者?(原作未読です。)
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