rpmu90377

僕と幽霊が家族になった件のrpmu90377のレビュー・感想・評価

僕と幽霊が家族になった件(2023年製作の映画)
3.8
冥婚(めいこん)は、生者と死者に分かれた者同士が行う結婚のこと。台湾では紅包と呼ばれる赤い封筒が冥婚に使われる。女性が未婚のまま亡くなると、道端に遺族が紅包を置く。通行人がそれを拾うとそれを監視していた遺族が出てきて、死者との結婚を強要される。そのため、安易に封筒を拾うことは危険であるとされる。(wiki)

警察官のウー・ミンハンは道路に落ちていた赤い封筒を拾ったために、待ち伏せしていた数人の老婆に取り囲まれ、若くしてひき逃げ事故で亡くなったゲイの青年マオ・バンユーと結婚するよう強要される。断れば不幸が襲うと脅され、いやいやながら形式的な結婚式を挙げた日の夜、バンユーの霊が現れ「僕を殺した犯人を捕まえてくれ。でなければ成仏できずに、いつまでも君につきまとうことになる。」と迫る。ゲイが大嫌いなミンハンは、霊から逃れたいばかりに捜査を開始する。。。

同性婚が認められLGBTQ先進国となった台湾では、同性カップルが登場する映画やドラマが次々と作られヒットしている。いまや単純なストーリーのボーイズラブではほとんどの人は感動しない。そんな中、今作は「冥婚」という今では廃れてしまった風習を取り入れて、ユニークなストーリーを展開して見せる。コメディをベースにしてサスペンスやホラーのテイストが織り交ぜられ、最終的には家族の和解が描かれて泣かせてエンディングを迎える。状況がたたみかけるように次々と変化する展開に息をつく暇がない。

ミンハンはゲイという存在を軽蔑しながらも、バンユーの家族と触れ合い、彼に助けられながら捜査を進めるうちに、彼の存在を心のよりどころと思うようになる。心のよりどころといっても所詮は実体のない霊である。バンユーが成仏してその映像が薄れていく姿に、安堵感とともにむなしさを感じた。
rpmu90377

rpmu90377