エイデン

世界残酷物語のエイデンのレビュー・感想・評価

世界残酷物語(1962年製作の映画)
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グァルティエロ・ヤコペッティ監督のドキュメンタリー映画

世界各国に伝わる奇妙な風習・文化を次々と紹介していく作品で、扱われる題材は動物から祭りまで様々
なお『世界残酷物語』と銘打たれてはいるものの、日本でヒットした『青春残酷物語』のパクり邦題なだけで全部が全部残酷ではない
ただ普通に上裸の女性出てきたり、動物殺すシーンとか流血シーンは出てくるので注意

興味深い内容ばかりが単発でテンポ良く並べ立てられるので、往年の『世界まる見え!テレビ特捜部』みたいなドキュメンタリー・バラエティ番組観てる気分になれる
ただまあ欧米のペット葬の話題に触れたかと思ったら、台北の犬肉レストランの話題とか急にやり始めるので、高低差激しすぎて耳キーンすることが度々ある

そして何より本作の特徴と言えるのは、当たり前な顔してやらせシーンが紛れてること
公開当時はまだインターネットも無く、他国の文化を知る術があまり無かった時代なので、言いたい放題 捏造したい放題だったということもあり、めっちゃ怪しい日本とかも普通に出てくる
とはいえ事実に基づいた内容も含まれてるのでかなり困ったもの
当時はこうした体の自称ドキュメンタリー映画も多く、本作の原題『Mondo Cane』のように「Mondo(世界)」という単語がタイトルによく使われていたことからから、ショッキングな世界の様子を描いたドキュメンタリーを後に“モンド映画”と呼ぶようになっている

今でこそ偏見や差別とも言われそうな内容ではあるけど、未開の文明の奇妙さや、対して文明人の変な趣味を見せ物のように扱うのは、先の通り世界を正しく認識する術に恵まれていなかった当時の人々にとっては見世物的な興味をそそる内容だったことは想像に難くない
事実、本作は世界的にもヒットし続編『続・世界残酷物語』も製作
ついでに主題歌のリズ・オルトラーニの『モア』は1963年のアカデミー賞主題歌賞にノミネートされ、同年のグラミー賞インストゥメンタル賞を受賞している

そんなトンチキで時代錯誤な珍品ではあるけど、話半分のつもりで観れば割と面白いので観ましょう
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