グラビティボルト

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

2.8
口コミでジワジワとロングランヒットした前作を踏襲し過ぎず、好対照なライバルキャラを据えて全く別な見心地の続編を作ろうとする作家の野心や戦略は伝わってくるし、丞威と濱田龍臣の佇まいが終盤で完成するのも悪くない。
如何せん平場の捉え方に戦略が不足してるのは辛かった。

いくらなんでも、屋内での会話パートがグダり過ぎてると思う。
前作は、二人の雰囲気が悪くなると片方が立ち上がって画面外の部屋に立ち去ったりするシーケンスがあり、二人の映らない時間をちらつかせる事で人物の背景を想像させる余地があったと思うのだが、今回は本当にただ女優二人をソファーに転がして正面から撮っているだけ。
これだと、会話の面白さに依存するしかないんだけど、
それも公開以前に流行した映画や漫画、ファッションに関する言葉を記号的に並べたような台詞回しが過剰で、イマイチ人物の生活の背景や特徴に繋がって来ない場合が多かったように感じた。

殺陣が展開されると流石に面白いのは本当に流石だと思う。
高身長な丞威はリーチを活かした足技、フェイントがメイン戦法で、
対して体格が小さい伊澤彩織は懐に潜れるように常に構えはコンパクト、柔軟性も活かして絞め技も積極的に使っていく。
という風に、人物同士で殺陣の個性が素人でもわかるアクション構成になっている。

殺し屋が主役の映画、組織の陰謀に巻き込まれたり、掟と人情の狭間で揺れたりするのが基本形だと思うが、「ベイビーわるきゅーれ」は主要二人が何処までも組織に依存するスタッフの一員である事が独特の冷めた見応えに影響を与えてると思う。
ここが新鮮。散々グダるんだけど職業人の映画(プロの映画)ではあるのだ。
ラストも、命令通りに観客の愛着が湧いた人物達を問答無用に消していく。
躊躇いはしない。標的が死んだら映画が終わるのも潔い。