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岸辺露伴 ルーヴルへ行くのべーすべーすのレビュー・感想・評価

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)
3.7
相手を本にして、その人物の心の中を読んだり、過去を知る事ができたりできる。また加筆する事で絶対的な命令を下す事ができる能力(ギフト)を持った漫画家、岸辺露伴。
偏屈で風変わりな彼が、不思議な災いに巻き込まれていくストーリー。
最も"黒"く邪悪な絵を謎を追い、舞台はルーブル美術館へ…。そこへ待ち受けていたのは、更なる過去への因縁だった!

 ジョジョの奇妙な冒険のスピンオフ、岸辺露伴は動かないをドラマ化した人気シリーズの映画化。原作はオールカラーで書き下ろしされた、岸辺露伴ルーブルへ行くを、小林靖子脚本、ドラマシリーズの監督だった渡辺一貴監督が演出、人気シリーズの集大成になった本作。

 ジョジョシリーズはとても好きな作品で、特に露伴先生が出てくる4部が大好きなんです。(吉良吉影が好きです)ドラマ版はチェックしてました。ドラマ用に絶妙なアレンジがされた部分と、キャラの強いキャスト陣が織りなすドラマが話題でしたね。いい役者さんが脇を固めてて良いんです!奥様がドラマシリーズ好きで一緒に映画を見に行きたいとの事で、楽しみにしておりました。
 今回個人的に驚いたのはなにわ男子の長尾謙杜さん。露伴先生の若かりし頃を演じるという難しい所なのにすんなり違和感が無かったのが驚いた。顔がそこまで似ているわけでもないのに、重要なシーンに繋がる物語の核になるところを演じててなかなか良かったです。なにわ男子だと気付きませんでした。さらに人気になりそう。

 高橋一生演じる露伴先生は、今回も不思議なリアリティに溢れた魅力的なキャラになってましたね!

 リアルとリアリティは似て非なるもの。
以前ドキュメンタリー監督のティーチインでドキュメンタリーはどこまでもリアルであってもカメラを通して映し出されるものは必ず加工されいて作り手の意図が生まれるというお話を聞いてなるほどなーと思ったことがあります。
 映画はどこまでも虚構。
 その虚構をどこまでリアルに近づけるかのラインがリアリティなのだと感じました。そんな中で、この岸辺露伴は動かないシリーズは絶妙なバランス感覚で、虚構とリアルの狭間を曖昧にしていて不思議な安定感が生まれる作品になってました。これは衣装デザインの素晴らしさにもあると思います。コスプレっぽいとなるでもなく、それでいて原作の良いところを活かしたデザインになって素敵でした。

 若干、長いなと思うところと物語の説明が丁寧過ぎるところもあるので勿体無いと感じましたが、なかなか面白い作品に仕上がってて、一ファンとして観て良かったです。