べーすべーす

梟ーフクロウーのべーすべーすのネタバレレビュー・内容・結末

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

目が見えない中で、何をみたのか。
物語の一転、二転、三転の仕方がほんと面白いし、ラストまで惹きつけれられました!…が…。

17世紀の韓国の歴史や風土を知らないので物語のスジを掴むまではわかりませんでしだが、ストーリーがわかってくるとなんとも良い攻防、せめぎ合いが面白かったです。

正しく針のむしろ。

見たくない事を見ずに生きる事は出来るが、"見て"しまったら見なかったことには出来ない。主人公ギョンスの戦いとラストにうめいてしまいそうでした。

とても面白かったけれど、ラストが物凄く勿体無かった様に思う。
ここからはラストに言及しますので気にしない方はみて下さい。






ヴィンランドサガに出てきた王冠の話を思い出した。王の冠を受け継ぐ話があり、端的にいうと王に与えられる魔力、玉座に座ると人が変わってしまうと言うという皮肉なストーリー。

本作も玉座に囚われた王と、恩義に報いるギョンスの対比とも言える。史実に沿った物語なので変えられないポイントはあるのだけれど最後のギョンスは処刑されていた方が整合性が取れた。
もちろん、ギョンスが死刑になるのは辛過ぎる所もあるけれど死刑を免れるくだりを作るならばもう少し何かあった方が良かったなと。
この物語の終盤から4年後に王が逝去するのだが、その際の王の診療にギョンスが鍼灸に来るという展開になる…。こうするのであれば鍼灸に来た医師は別の鍼灸師であって、錯乱した王が見間違えてギョンスに見えたとした方がスマートだったかと思う。それかもっと別の展開があったのではないか。

ここまで面白い作品だったので、ラストの展開が違う形であれば今年ベスト級だった事は間違いありません。
それでも、盲目と音の使い方、素晴らしい緊迫感を味わうには劇場体験するにはうってつけの作品です。