えむえすぷらす

特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテストのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

5.0
朝一番観てきました。
楽器作画とかどうなる?という心配は冒頭1分程度で「帰ってきたな」という確信に変わった。音は鳴り響き楽器とシンクロして描かれる。そして部長となった久美子の最初の仕事が始まるのです。

とまあこんな感じで良かった。たった57分という尺、テレビであれば2話分相当ですが、ここに中編小説の原作をきっちり描きこんできた。ストーリー面はもうこの1時間近い尺でよく90分近い情報を入れてきたなあ。

でも難点もある。それはタイトルの「アンサンブル」演奏の通しがない事。『響け!』シリーズは演奏をどう扱うかというのはずっと課題だった。演奏中の描写を力入れてするというのは原作でもしているわけではなく結果として置かれる。そこに至る練習などで何が起きてきたのか。そこでの人間関係のランダムな衝突と反発みたいなものが本シリーズの魅力。
そこに運指描写と音が一致するという音楽作品としての性格が足されている。そしてコンクールなど演奏シーンでどう演出するかは毎度課題になっている。この課題について作中の二人の関係性が決定的に変化するシーンとして描いたのが『リズと青い鳥』で基本的に二人の演奏の姿で感情表現までしてきた強烈な約3分の演奏シーンが生まれた。こういう展開が本編では群像劇ゆえになりにくいからみんながどう頑張ってきたか見せるシーンとなる。今回もこの点は変えられなかったというよりおそらくは足りない尺の問題でもっとショートカットするような手法で終えている。
(補足。チーム高坂の演奏曲だけは丸ごと流れるけど演奏シーンとしての作画はない)

「なおエンドロールの後にも物語はあるのです。席をたっちゃダメですよ」(緑)