えむえすぷらす

アリスとテレスのまぼろし工場のえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

5.0
閉塞された地方都市。他からの影響を受けないので状態固定化したまま長い冬が続く中で登場人物たちはそれでも変過しておりそれ故に夢を抱き、そして絶望する中で「異物」の存在が明らかになりそこから世界の秘密に触れる事になる。暴走する競争から鏡像、泡のような世界でそこに生きる人達による選択が暴走する。
言葉遊び的な同音異義語や英語→日本語からの三段活用などでその世界を説明し、そして変える力になるあたりは脚本家である岡田麿里監督の個性に見えるし。『さよ朝』でもあった見かけが変化しなくても内面は変わるのだという主張は再び貫かれている。
本作の出来を監督の暴走で止める人がいないとか感想を見かけましたが、絵コンテ・演出などの作画系の人たちもいれば、制作の人もいて特に後者は集団芸術である映像作品においては決定権を握ってもいるので別に暴走でもなんでもなくむしろ後押ししたはず。それは岡田麿里さんの作家性でもありいろんなものを見出せる寓話的な物語となっている。予告編制作した人は下手な予見を与えないようにするのに苦労しただろうなという面白い作品だと思う次第。こういう作品、宣伝が難しいので口コミで面白いと思うよって話が広まるかどうか次第になると思う。私はおすすめです。