山本Q

ザ・キラーの山本Qのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・キラー(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

デビットフィンチャー作品なら何でもまずは見ちゃう。

男の人って好きだよね。と思われてそうな殺し屋もの。2023年は殺し屋映画は多かったような。みんなゾンビにも宇宙人にも飽きてきたのかな。フィジカルなアクションが主体になっているのも、CG ヒーロー達の反動だろうか。ハリウッドが指パッチンされるかという勢いだったのに、そう簡単に天下は取れないもんですね。
原作があってフランスのアレクシス・ノランさんの漫画(?バンド・デシネ?グラフィックノベル?コミック?)

 映画は面白かったけど、変わってる印象。ストイックでカッコいい人生のモットー。のような美学があんまりピンとこないタイプなので、今作がそういうタイプの映画だったかどうかは疑問。なのに楽しく見れる理由がよくわからない。大筋は「仕事をしくじった殺し屋が、殺されないように事後処理する」というシンプルなもので、主人公がそれまでに培った人生訓のようなものを頼りにテキパキと行動してゆく。世界観はリアル指向で登場人物も極端なキャラ付けは感じられない。
 というところで、お話作りとしては要素を刈り取って、モノローグを多用し主人公との一心同体感をどこまで高められるか?というチャレンジをやってみた。というところじゃないだろうか。
感情を見せるシーンも無いし、主人公のモットーや手際の良さ以外に触れるところがあまりないような気がする。
(「感情を見せないよう努める様子」も感情なら)

映画として面白い部分がいくつか。マッチョマンとの格闘が生っぽくリアルで良かった。「実際はあんなだよね」という納得感。
ビジュアルが映画っぽいくてすごい。シチュエーションはただ運転してたり暗闇に潜んでたりと、あんまり派手なお膳立ての無い舞台だけど、ちゃんと映画の絵になってるのがすごい。コツでもあるのだろうか。それとも、映画語りに組み込まれてるから、緊張感のある画面になっているのだろうか。

最後の最後でティルダ・スウィントンはびっくり。やっぱり映画だったんだ思わされた。
山本Q

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