今泉力哉監督最新作。
前作『ちひろさん』に引き続き、正直あまりグッと来なかった。。。
（前作も今作も原作者が今泉監督本人ではないという共通点があり、ここら辺になにかありそうな気がする）
というか私、これまでの今泉監督作品が好きな要因として、
「等身大の（「リアル風」ではなく「ガチリアル」な）人間同士の関係性が、これまたリアルなコミュニケーションを通じて、なんとも奇妙な、だけども必然性のある発展を見せていく様をユーモラスに描く」ということがあったんだけど、
前作の『ちひろさん』では「リアルな」というところが満たされず（ほぼファンタジーだったので）、
今作の『アンダーカレント』では「ユーモラスに描く」というところが満たされなかった。
全体的に抑制の効いたシリアスな演出で、一本の劇映画として観たときの作品のレベルは非常に高く、既に日本の大監督としての力量を発揮し始めているようにも思える。
なのでこれは監督が狙った変化であり、それはすなわち「成長」とも言えるため、この変化は歓迎すべきものなんだろうが、ちょっとまだ私がうまく受け止められていないところがある。
全体のトーンについては上記の通りだが、お話の部分についてもあまり響かなかった。。
一応、準ミステリー仕立ての構成となっているが、終盤の展開を観た際も、正直感想は「へぇ･･･そうなんだね･･･」というもの。
なお、原作からは改変しているらしいラストシーン、これは非常に良かった。
人と人とは本質的に分かり合えない。
それはそうだ。
だけど我々は、手持ちのカードで勝負するしかない。分かり合えないかもしれないが、少しでも分かり合えるように努力しながら、前に進んでいくしかない。
私はこういった「前向きに諦める」という仏教的なメッセージが無条件に好きなので、これを視覚的に表現したラストシーン、これにはグッときました。
また、やっぱ俳優ってすげぇなぁと思った次第。
最近お騒がせな真木ようこ氏、以前バラエティ番組で観たときに（悪い意味で）かなり危ない雰囲気を漂わせていたが、そんな方でもこんなしっかりした演技できるのね。
あと、井浦新、やっぱあなたは凄い。
難しい役どころを繊細かつ大胆に演じ切っていた。
以上。
そろそろ今泉力哉監督オリジナル原作脚本作品も観たいなー。
