昨年2022、鬼籍に入られたNBAのレジェンド中のレジェンド、偉大なるビル・ラッセルの伝記ドキュメンタリー。
ナレーションにコリー・ストール、ラッセルの著作からの"彼の声"に名優ジェフリー・ライト。
8連覇を含む11度のチャンピオン。無敵のボストンセルティックス。
90年代NBAにハマった時その伝説級の偉業は知ったものの、当時、その好々爺然とした佇まいに、本当の偉大さを充分に判っていなかったと思う。
それこそ１試合100点のチェンバレンや、"神"ジョーダンなどに比べればNBA創成期故の記録にしか過ぎないと軽々しくも思っていた所はあった。
ただ今改めて、ラッセルの活躍していた時代が公民権運動の隆盛と時を同じくしていたことが判り、"白人のスポーツ"バスケットボールの進化変化を切り開いていった先駆者としてのラッセルの一面に大きくフォーカスしたこの作品に触れるとその敬意を新たにする。
NBAをはじめアメリカスポーツにおけるプロアスリートたちの社会意識の高さは彼の様な存在が引き継ぎ育んだものなのだ。
また、競技面や興行面においても、バスケットボールボールにおけるディフェンスプレーの真価を高め、チェンバレンとのライバル関係で大いにリーグの躍進に貢献するなど、バスケットボールという競技の今日の成功の礎に間違いなく不可欠であったことが分かりやすくまとめられている。
知性とユーモアを兼ね備えた彼の言葉の一つひとつや、プロアスリートとしての矜持を感じられるエピソードの数々。
バスケットボールファンは勿論、スポーツファンは必見。良いドキュメンタリーでした。
