岩嵜修平

終わらない週末の岩嵜修平のレビュー・感想・評価

終わらない週末(2023年製作の映画)
3.6
週末に起きた出来事を通じて、まさしくアメリカの「終末」を描いている訳で、原作を出した早川書房の担当者さん(翻訳の高山真由美さん?)素晴らしい。終末への3ステップは、プロデュースにオバマ夫妻が入っていることで説得力を持ち、そして、同じことは日本にも言える。

同じくNetflixの『ドント・ルック・アップ』『ホワイト・ノイズ』までは抽象度が高くコメディ性も強かったので、あくまでエンタメとして消費できたが、本作はアメリカ的正義が限界(大統領の年齢が象徴的)を迎えつつあることを示すように具体的。シャマランやジョーダン・ピール作品のような不穏さ。

陰謀論との距離感も絶妙。いかにもな陰謀論者を登場させ、暗に批判的な眼差しを向けつつ、その眼差しさえも批判的に捉える。自らの思考への疑い。誰もが本当のことは知り得ない。電力で駆動する凡ゆるサービスの危うさ。怖いのは外国以上に国内。地下シェルターで生き残ることは、果たして幸福なのか。
岩嵜修平

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