Ayu

アダマン号に乗ってのAyuのレビュー・感想・評価

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)
3.5
自分自身も精神科に通ういち患者として題材や内容にとても興味があったので、オンライン試写会でゆっくり自宅で鑑賞出来たのは取り扱っているテーマ的にも良かった。試写室や劇場のスクリーンに映し出される、自分とどこか似通った考えや感覚を持つ患者さんを正面から見ることに正直なところ直視するのが辛いシーンもちょこちょこあったなと観終わったあとだからこそ思った。

セーヌ川に浮かぶ、患者・スタッフ・支援者の括りを作らず皆が自由に、かつお互いを尊重してのびのびと過ごせる場所アダマン号(アダマンとはフランス語でダイヤモンドの中心、一番硬い部分を指す言葉)ワークショップの種類は多岐にわたり、音楽・芸術・陽の光・コーヒー・会話や議論など自由度が高いものがたくさんある。自由なテーマで絵を描いて、その絵を自らの言葉で説明する。絵が上手い人や楽器が弾ける人、雄弁だったり、大きな音を怖がったり、ベンチに座って佇んでいるだけの人、患者さん一人ひとりに物語と個性がある。

画面に映し出される患者さんたちは時には過去や今の自分の現状に傷つき、未来に怯えながらも自らの疾患に向き合って、自分の声を発することの力と大切さ、存在することの意味を教えてくれる。劇中さっきまで輝いていきいきと喋っていた患者さんたちの顔から光がフッと一気に消えるシーンが何度もあって病気のせいとは言え見ていて辛い。治るかな?薬を飲まないとダメかも、早くカウンセリングに行きたい、など安心材料も人それぞれですごくリアルだったと思う。

オンライン試写会のエンディング後についていた監督のインタビューがとても情熱と情報量に溢れていて素晴らしかった、パンフレットに文章と解説入れてほしい(インタビューを受けているおそらく自室のデスクの後ろに、エブエブ並のサイズがさまざまな丸い石🪨が山ほど置いてあったのもなお良かった)
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