Ayu

オッペンハイマーのAyuのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5
先日会社の飲み会で映画が好きなことが発覚した後輩ちゃんと、年始にゴジラ-1.0を観に行った同僚と鑑賞。旦那さん以外の友達と映画を観に行くのは毎年GW恒例のコナン以外久々で初メンバー。後輩ちゃんはしっかり映画好きだけど、題材重いし同僚は初の3時間映画だわ(しかも予習ゼロ)でひやひやしていたのけど、誰も寝落ちもトイレに立つことなく完走出来て一安心。

180分ひたすら会話劇が続くと聞いていたので、夕方からの回なのもあり眠気が来ないか戦々恐々としていたのだけど、個人的にはノーラン作品の中ではメリハリが分かりやすく、事前にNHKの関連番組(映像の世紀のマンハッタン計画の回とクローズアップ現代のノーランのインタビュー)で予習もしていたので時系列の行き来や登場人物が多くてもそこまで混乱せず、かと言って扱われるテーマから日本人として葛藤を感じないわけではなく、終始感情が揺さぶられた。鑑賞後、どんな気持ちでいるのが正解なのか分からずいろいろな感情がぐるぐるしていた。

ただ一つ鑑賞後パッと浮かんだ感想はエミリー・ブラント演じるキティの強さについて。ナヨナヨしている(と言うか周囲からは何に対しても確固たる信念、みたいなものがないように見えていたのだろうか)夫ロバートに発破をかけて、大事な場面では自らの言動で後押しする。彼女自身が犠牲に、もしくは成し遂げられなかった偉業について、夫を通してやろうとしたのだろうか、その時代のアメリカで学者として生きた女性たちについて想いを馳せた。

個人的には密かな推しのデイン・デハーンを久々に大作で観れて嬉しかったし(しかも絶妙に嫌な役、目の奥が笑ってない笑顔が最高)ところどころ端役にバイプレイヤーを添えて厚みを与えているのが良い。ジョシュ・ハートネットの役柄も彼のビジュアルにマッチしていて不自然過ぎず良い配役。RDJの演じたストローズのキャラクターは想像以上に作り込まれていてなるほどという感じ。終盤の激昂する場面でストローズがヒロシマを正しい発音で一回も発しないのがすごく気になった(意図はあるのだろうか)

ハワイに住んでいた幼少期、真珠湾に社会科見学で連れて行かれてた時や米国史の授業の第二次世界大戦の終結について日本人としてどう思うか、と聞かれて答えたことを思い出す帰り道。私個人としては一般市民に対する攻撃をリスクを分かっていながら作り実行したことはやっぱり許せない、時代の大きな歯車の中に巻き込まれていても、戦争を終わらせるために少しでも人道的な方法をアメリカ軍・日本軍のどちらにも努力して欲しかった。いつだって苦しむのは意思決定を持たない一般市民なのだ、と改めて思う。
Ayu

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