Ayu

アイアンクローのAyuのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
3.5
今年のA24配給作品とはなかなか相性が良いかもと思える良作。史実はもちろんプロレスの知識皆無の中(学生時代に付き合っていた人が週間プロレスを購読するほどのマニアだったけど、私は当時ダーレン・アロノフスキーの「レスラー」(2008)と言うプロレスのネガティブな面を寄せ集めて煮込んだみたいな作品を履修済みだったので全くプロレスの面白さを理解出来ないままお付き合いは終わった)新鮮な気持ちで鑑賞。

Toxic Masculinityの弊害とFuck Patriarchyな作品。父親にYes Sirと従い続けることに違和感を覚えない系に育っちゃったフォン・エリック家の男子たちが本当に可哀想。ザックをはじめメインキャストたちの熱演は素晴らしく、肉体や髪型をエンドロール前に出てくる本人たちに肉体の特殊メイクなしで寄せていて重厚なドラマに仕上がっていた。

呪われた一家と劇中で連呼されているが、常にフォン・エリック家の中には重苦しい空気と両親にNOと言えないことによる閉塞感が漂っていて、この空気を作り出している父親も母親もどちらもその責任を取ることから終始逃げているのが本当にずるい。キリスト教においてだいたいどの宗派でも自ら死を選ぶことは重罪なので、母親は父親より辛かっただろうなとは思う。

ザック・エフロンの演技は確かに軒並みアワードシーズンにかすりもしなかったのが不思議なくらい良いし、ジェレミー・アレン、ホワイト(首周りが太すぎて見入ってしまった)もハリス・ディキンソンもそれぞれが持ち味を発揮していて説得力がある。ハリスとパム役のリリー・ジェームズはイギリス出身なのにテキサス訛り上手かったなと個人的に思うんだけど、日本にテキサス訛り警察がいるなら2人の訛りに点数付けて教えてほしい。
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