よしや

タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスターのよしやのレビュー・感想・評価

4.6
上手すぎるぞジェームズ・キャメロン、上手すぎる。
確かにディカプリオとウィンスレットの物語は2人の名演技とタイタニック沈没という実際にあった悲劇を背景にすることで深い愛と悲哀を感じさせるが、とにかくそれをサポートする構成が上手い。

まず掴みがいい。海底のタイタニックを引き上げる所から始める、これがいい。実際にキャメロンが海洋探検に詳しいことで作品全体のディティールが底上げされ、海の底から物語を引き上げるイメージが時空とスケールを感じさせる。

宝石をどこに?というテーマを最初に提示することで最後まで無意識に観客は恋愛ドラマの中にその行方を追ってしまう作りがニクい最後まで効いてくる。

ローズが過去を振り返る形で進行し時折現代のシーンを挟む。これが自然にやるけど効く。観客が理解し整理出来るように補助する。事前にタイタニックがどういう沈み方をしたのか提示してくれてその後のシーンの理解を助けてくれる。

タイタニックが沈み氷海のウィンスレットが声出ないから笛を吹いて助けを求めるシーンも事前に綺麗に伏線を入れてくれてるしリアリティがある。

ディカプリオの溌剌とした未来へ自信に満ち溢れた演技とウィンスレットのたくましく時間を経つほど美しさと深みを増す表情は言うまでもない。
情念に渦巻かれた恋愛ドラマも先読みを許さない。
色褪せない名作。
よしや

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