デ・パルマ、パチーノの「スカーフェイス」コンビ。スカーフェイスがギラギラした成り上がりを描いてるとするならカリートの道はマフィアのその後。
出所して仁義ない裏切りに満ち溢れた街に放り出されたかつての大物カリートが引退の道を探りながらもかつての自分をも捨てきれない、そんな話。
スカーフェイスのthe world is yoursにも通ずる皮肉めいたparadiseの描写、用心棒バチャンガの裏切り、といいデ・パルマは意外と丁寧に与太話に伏線を置いている、憎いね。
クラインフェルドは欲望に満ちたとてもいいキャラ造形。カリートのクラインフェルドを信じながらも見放す最期、ベニー・ブランコを殺すべきだがそういうテンションでないからやめる、等、カリートの加齢による変化と変化しない所の両方が巧く描き出せている。
特に周りが裏切り上等、仁義恩など無に返すからこそのカリートの美学が光る。
ストーリーはひねりが少なくゲイルのキャラ造形は平凡で退屈、到底カリートが惚れこむレベルにないが、カリート個人の哀愁とクールさで持ってる、パチーノ流石。
アクション物足りないように思わせてラストの鉄道駅でのガンアクション、痺れる。
スコセッシのマフィアムービーがジャンル映画というか時代背景を丁寧に汲み取り群像劇用に仕立て上げてるのに比べ、粗野で欲望に忠実で人間芯は通ってる個人を描くデ・パルマの上手さ。
デ・パルマの描くディスコ、クラブの感じがすごい好き。