凛

夜明けのすべての凛のレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.1
原作既読。
原作者の瀬尾まいこが実際に病気の症状があり、劇中の描写はかなり繊細に作られている。

美紗(上白石萌音)はPMSの症状が強く出たことで会社を退社し、現在は栗田科学。
山添はパニック障害と診断され、前職から栗田科学へ。同僚になってお互いの病を知り、寄り添い合う。。

三宅唱監督らしい穏やかで淡々とした雰囲気で話は進む。柔らかく温かい。

パニック障害もPMSも、人によっては名前も知らないかもしれないし、普段はいたって健康に見える。
それだけに周囲の人には理解されづらいし、病気だと気付かない人も。
それでも本人にとってみたらとても苦しく、出来ないことも多く、医師の診断や薬も手探りの状態。
薬が合えば安定する時もあるが、いつ発症するかと恐々と毎日を送る。

他の人達も、言葉にはしないけど、哀しみを抱えて日々生きている。

笑っている人、楽しそうに見える人にも、何かしらの困難があり、生きている限り辛いことはある。
人のことを完全に理解することは絶対に無い。
それでも、少しでも理解しようとする人が周りにいてくれたら、生きやすくなるかもしれない。

本当にパニック障害のある人は映画館まで来れないだろうし、配信で観ても、症状が違うと思うかもしれないけど。
こういう作品を観て、見た人によってどこかしら気付くことがあるだろうし、シンクロする部分もあるだろう。

心が閉塞してしまいがちな日々に。
誰にも等しく朝は来る。
凛