凛

哀れなるものたちの凛のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.4
「ラ•ラ•ランド」で頭角を表したエマ•ストーンが、「女王様のお気に入り」のヨルゴス•ランティモス監督と再タッグを組んだ作品。

原作未読。
設定がフランケンシュタインのような雰囲気もあるが、大きく異なるのは怪物扱いされたフランケンシュタインに対し、自殺した身体に幼児の脳が移植されたベラ(エマ•ストーン)は、外科医ゴッドウィン(ウィレム•デフォー)には実の娘のように可愛がられる。

大人の身体で、行動は幼児のアンバランスさは見ていて滑稽だ。可愛らしいが異様。
しかし、ベラの成長は著しく、自我に目覚めていく。
ベラの自我は心だけでなく身体も解放する。
ベラに魅力され共に旅するダンカン(マーク•ラファロ)は初めはベラを自分のものにしようとするが、ベラの性的な楽しみを解放し、奔放な行動についていけなくなる。
旅の途中でベラが見せた恵まれ無い者への哀れみの心は、ゴッドウィンに愛されて育ったため、他者への愛もしっかり根付いている。

ダンカンと離れて自ら稼ぐことになっても、ベラの身体はベラ自身のもの。職業に貴賎上下はない。

後半になり、ベラの自殺の原因も分かってくる。
オチもしっかりあって小気味良い。
でも、男性が見たらどうなんだろうな、と思う。
それぐらい、清々しい女性の自立の物語。

煌びやかで個性的な衣装を纏ったエマも美しいが、惜しげなく脱いだ身体も魅力的。
旅する街は凝ったセットで、何処もなく近未来のようでもあり、趣きがある。

撮影は白黒だったり魚眼レンズだったりと工夫がてんこ盛り。
見所満載で本当によく出来ている。

R18
手術シーンもあり、なかなか刺激が強い。
凛