Kogarath

夜明けのすべてのKogarathのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.4
特別親しい関係じゃない、たまたま同僚になったような人を気にかけて、その人の苦しみを想像して寄り添うなんてなかなか難しい。
そんな関係性のひとつの理想形を、あくまでも自然に提示してくれるような優しい映画だった。

徹底的にドラマチック要素を排して安易なロマンスに走らない。
主人公2人に恋愛感情は芽生えないし、山添くんの彼女と遭遇しても波風が立たない。クライマックスになりそうな別れの場面すら省略する。
それでも日常の中でさりげなく描かれる、他者に対する気遣いや思いやりが積み重なって、エンドロールでは自然と涙がこぼれていた。
ロングショット長回しの会社の日常風景の中に、藤沢さんの自転車を受け継いで栗田科学の制服を着ている山添くんの姿を見て、胸にこみ上げるものがあった。

なぜレイトショーに若い女子たちが集まってるの!?と思ってしまうくらい松村北斗という人を知らなかったんだけど、彼、いいですね。とても自然な演技で。
「ケイコ 目を澄まして」に続いて音響や映像の質感も素晴らしい。参りました。
Kogarath

Kogarath