Kogarath

哀れなるものたちのKogarathのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
ファンタジックでどこか歪な舞台や衣装、エマ・ストーンの熱演に目を奪われっぱなし。魚眼レンズの多用など凝ったカメラワークも、この世界観ならアリだなと思わせてくれる。とにかく映像を観ているだけで楽しい。

女性の解放や社会常識への問いかけといったテーマがしっかり伝わるし、エログロ満載なのにランティモス作品で一番観やすいかもしれない。
印象的だったのはベラとゴドウィンの関係の描き方。
現代に存在したら大バッシング間違いなしの非人道的な手術をしてきたゴドウィン。
彼が過去に父親から受けた行為は虐待だと思うけど、それは偉大な父の実験のためだったと自ら思い込もうとしているように感じた。
そんな彼に対してベラは噓をつかれたことを責めながらも、自分を作り出してくれたことは感謝する。最期のときを寄り添って過ごす描写は、柔らかな照明の効果もあり慈愛に溢れていてとても良かった。

アカデミー主演女優賞はリリー・グラッドストーンとの実質一騎打ちと言われているようだけど、エマ・ストーンが獲りそうな気がするなあ。独壇場だった。
マーク・ラファロのとことん情けない演技も忘れがたい。
2人が全力で奇妙なステップを踏むダンスシーンは最高だった。
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