公私ともに多忙で睡眠不足が続く時期に公開されたが、これだけは劇場で観ねば！とあらゆる眠気対策を講じて臨んだものの撃沈。
前半の寄り道だらけの会話シーンの連続にしっかりウトウトしてしまった。（エリセ作品は絶対に初回寝てしまう…）
それでも番組が放送されてからの怒涛の面白さには前のめりで夢中になった。その勢いのまま過去と現在、虚構と現実が混じり合いながら突入する完璧なラストシーンは息をのむ。素晴らしかった。
ゆっくり窓が開いていくカットの美しさや、人物や建物のクラシカルな佇まいに惚れ惚れする劇中劇から、一気に現代に舞台が飛ぶ冒頭の流れがとても新鮮に感じた。自分の中では歴史上の人物くらいのポジションにいるエリセが、現代を舞台に撮っているという驚きと喜びも大きい。このあたりフィルムとデジタルで使い分けてるのかな？
海辺の村での生活描写も好き。映画から身を引いた悲壮感はなく、豊かではないけど仕事と畑があって、気の合う仲間や犬がいて。
このままでもいいけれど、やはり映画を忘れられない。監督自身の投影もあるのかも。
ラストは、思い出すのか否かのドキドキよりも、あらゆる人が同じ場所でスクリーンを見つめるという「映画を観ること」そのものの尊さを噛みしめたい。
