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夜明けのすべてのHALのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.4
2月に公開されて今もロングランヒット中の話題の映画をやっと見れた。
名だたる有名監督もこの映画を好みにあげるほどの人気とか。

どんでん返しも事件もない、淡々とした映画なのになぜか全然眠気が起きない稀有な作品だ。俗に”いい映画”というが、この映画こそ”いい映画”だと思う。

また、主演の二人がアイドルなのに、普通のどこにでもいそうな若い男女という感じですごく好感のもてる演技をしている。自然な演技という感じがする。

最初は無気力でとっつきにくい山添くんが徐々に好青年に生まれ変わってくるところが一つの見どころ。これも松村の演技プランと監督の演出プランが功を奏している証拠だろう。

ちなみにパニック障害のシーンは演技だとしても本当に過呼吸になる可能性があるため医師立ち会いのもとで撮影をしたそうだ。文字通り体を張った演技だ。
上白石もつらい障害を持つ女性を熱演している。

つらい障害を持っているのに頑張って生きている姿が見る人の共感を呼ぶのだと思う。しかも、それが決して噓っぽくない。
さらにこの映画に出てくる登場人物に根っからの悪人がいないというのもいい。多分、悪人がいると、この映画のバランスが崩れるからだろう。
なので脇を固める役者もいい。キャスティングがうまい証拠。

夜明けのすべてというタイトルの意味も後半に明かされるシーンが印象に残る。
「生きるのはつらいけど死にたくない」というのも本音として良くわかる。

この映画は文字通り見た人の人生の糧となり、勇気と希望をくれる珍しい映画ではないだろうか。
見た後に生きる力が湧いていくる映画はそんなにないと思う。まさに令和の名作誕生といえるかもしれない。
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