凛

アナログの凛のレビュー・感想・評価

アナログ(2023年製作の映画)
3.9
ポケベル・携帯・スマホを使うようになって、人と人がすれ違うことが無くなった。
そんな日常の中で、敢えて連絡し合わない2人のお話。

人を待つ時間は、実はとても素敵なものかもしれない。
今はみんな忙しくて、情報に流されて浮遊してるけど、限られた時間、運が良ければお話できる、それは貴重な出来事。

もう若い頃とは違い、過去にも何かしらのあるかもしれないけど、偶然の出会いで心を通わせることができたら、それは何よりもかけがえのないもの。

人との関係をシャットダウンして生きたいと願っても、案外、人は誰かと繋がっていて、それが、煩わしい時もありがたい時も。

物語はそんなに捻りがあるわけでもないが、悟(二宮和也)の普通っぽさと、友人達(桐谷健太・浜野謙太)の悪いけど情のあるやり取りで、魅せてくれる。

余白の多い作品で、緩やかに心がほぐされていくのを感じる。
波瑠のどことなく浮世離れしているような仕草も、時を追うごとに説得力を帯びてくる。

小さなコミュニティで起こる些細な幸せ、それはその人にとっては一番大切なものだったりする。
凛