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SISU/シス 不死身の男のtanayukiのレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
4.0
クエンティン・タランティーノの西部劇と『ジョン・ウィック』とロシア戦争映画の傑作『T-34』を足して3で割ったような痛快娯楽活劇。ラップランドの荒野を舞台に、たった一人で300人のソ連兵を葬った伝説の男アアタミ・コルピが、敗色濃厚で撤退中とはいえ故郷を焼け野原にした憎きナチスの小隊を相手に、ツルハシ1本で立ち向かう。

SISUというのはフィンランドに古くから伝わる言葉で、何があってもあきらめない鋼鉄の意志、何度倒されても立ち上がる不屈の精神を意味する。不死身というより、肉体的にはとっくに何度も死んでるはずなのに、当の本人がそれを認めず、死を受け入れることを拒否するのがSISU魂。だから、アアタミ・コルピはたしかに強いが、ジョン・ウィックほど圧倒的な殺人スキルをもっているわけじゃないし、『キル・ビル』のベアトリクスのように、何度も瀕死の重傷を負う。だが決して、決してあきらめない。何度も心が折れそうになるが、そのたびにそれを拒否してわきあがる不屈の魂で立ち上がり、以前にも増して熱く燃え上がる闘争心をたぎらせて、ふたたび敵に向かっていく。

うっそ〜ん、まだ生きてるのwww という声が聞こえてきそうだが、本人が是が非でも、否が応でも、天地がひっくり返っても、死を受け入れないんだからしょうがない。地雷が爆発しても、首をつられても、機銃掃射を受けても、水中に落とされ息ができなくても、飛行機が墜落しても、体内に残る銃弾や爆発物の破片をみずから抉り出し、傷口を焼いて消毒するだけでなぜか復活する、とにかく死なない無敵の男。見れば、血がたぎること間違いなし。

△2024/03/01 U-NEXTでレンタル。スコア4.0
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