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ブレイキング・ニュースのkirioのレビュー・感想・評価

ブレイキング・ニュース(2004年製作の映画)
4.4
上映会にて初鑑賞
手探りで組み立てられた画面と良質なサスペンス
気合いと独特の質感みたいなものを堪能

STORY

一つの事件の顛末とマンションを舞台にした90分足らず
比較的に実験的なショットの多い本作
冒頭7分の1シーンや、同時進行場面のスプリットシーンなど、リアルタイムな緊張感を生み出している
一方で、実験的なあまり、純粋にカメラがぶれていたり、俳優のタイミング合わせを想像してしまったりもする
しかし、その試行錯誤の跡みたいなものが、意図しない場面でも、映画の面白さになっている
とは言え、やはり画面のクオリティの高い
何気ない場面でも、俳優を収めたカメラ位置、カメラワークは見事
さらに言えば、突発的に現れるアクションシーンの面白さもさすが
立地とシチュエーションを生かしたコーディネートが光っている

劇場鑑賞ならでに楽しめた点だろう


またストーリー的にも政治性を少しはらんでいて、その部分でも見応えある
一つの事件を題材に警察とメディアのあり方が問われ、その中で揺れ動く犯人、刑事、指揮官が描かれる
犯罪事件が、大衆の目を巻き込んで一つのショーレースになっていく様は往年の「狼たちの午後」のよう
またカメラの目を通して、徹底的に人為的な動きを排除する中にも、人間の弱さや甘さを引き出すあたりも上手い
犯人と指揮官の対決が、どこかロマンスのように見えなくもないのも、往年の映画ファンの心を掴む

90分余りの映画を堪能できた、良い上映だった
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