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仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインドのkirioのレビュー・感想・評価

3.5
2003年放送「仮面ライダーファイズ」の続編ポジション作品の最終版
「蘇生」を超えて遂に「余生」へ

往年のメインスタッフ再集結で作られた企画20年、vシネ、仮面ライダーのコンテンツ消費などの前提を踏まえて、ほどほどにまとめられた作品だった



強烈なキャラクターと衝撃的なドラマで、そもそも人気シリーズなファイズ
ここ10数年での客演や衣装を継いだストーリーも多いが、いい意味で本作では、肩の力を抜きながら見れる程度に仕上がっている

面白いのは、主人公 乾巧の生き様とファイズや仮面ライダーそのものの現実が一致している点かも。「死体蹴り」と言わんばかりコンテンツの使い回しとジリ貧が目立つシリーズもの。奇しくも死者からオルフェノクとして蘇生した巧に対して、終わりある価値と生きる情熱を提示したのがTVシリーズか。ともすると、その後のゲストやオールライダーを通して、その先に行き着く死場所探しが繰り広げられてきた。そして、正統続編である本作では遂に、死ぬことにこだわらず、居直って余生を楽しむような、開放感と脱力感があった。人気コンテンツが長期化する現代ではディズニーやハリウッドを含め、そんな「開き直り」も語られがち。そこに目を向けた日本の特撮・アニメ作品は、まだそう多くないかもしれない。
「ドンブラザーズ」といい、その辺りの脱力感とも余裕感とも摂れる作りは、往年のスタッフならではかもしれない(もっとも、VFXや演出の拙僧なさを見ると、どこまで意図的なのか何とも言えないないが…)
ただ、余生を燃やし切って最良のエンディングを見せてくれた「ガンダムSEED」に対して、こちらは肩透かし感と、まだまだ余韻がありそうな感じは恐ろしい…

そういう意味では、払った分こそ楽しませてくれる映画かもしれない
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