スカポンタンバイク

アイドルマスター シャイニーカラーズ 第2章のスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

2.8
なんだかんだで行くわけです。
特別興行のせいであらゆる割引がなくて1900円取られるというのに行くのです。
私はどうかしている。

〇筆者のシャニマスレベル
まず第1章の時との、私のスタンスの違いについて。第2章公開前にソーシャルゲーム「アイドルマスターシャイニーカラーズ/Song for Prism」が始まったので、シャニマスデビューとしてこのゲームを始めました。結構楽しんでます。
第1章では、放課後クライマックスガールズが圧倒的に大好きになったのですが、ゲームでも最初にプロデュースして、もう未だに圧倒的に大好き。もうみんな良い子。ゲームを始めてからの変化で言うと、第1章ではもう果穂ちゃんが一番好きだったのですが、ゲームを通してだとチョコ先輩が本当にチョコチョコしてて可愛くて好き。てかもう、放クラはみんな大好きだなぁ。個性のごった煮感が一番あるし、パッションな仲良しさも良いし、黒板はスライドするし。
というわけで、ゲームのおかげで今作に出てくる登場キャラクターにある程度思い入れを持った状態で臨みました。(未登場キャラだとSHHisの2人が相当好き。)

〇端的な感想
鑑賞後にまず思ったのが、「話ねぇー...」って事ですかね。今作は全12話中の第5話〜第8話なわけですから、最初は後半への中継ぎ的なスッキリしない話になるのかなぁと思っていました。しかし、今作はなんというか、全体に渡って積み上げる工程みたいなのがほとんど無く、終始キャッキャウフフしてる映像がひたすらに続く、実験的なアニメだなぁと思いました。とにかく、どういう話だったかを端的に話すのが難しい。ディテールとして分からない事が多すぎる。

〇良かった所
とは言いましたが、やっぱり情が湧くと弱いもので。
もう第7話の放クラの回想シーンは泣きましたよ。分かってたけど、こういう大会系でのパッションは本当に不遇なんですよね。現実のアニヲタもクール系が好きな傾向が強いですしね。「観る目がねぇな!」って毎回思うわけですが。果穂ちゃんの手をチョコ先輩が握ってねぇ、もう思い出しただけでヤバい。
そこからの第8話もほとんど放クラとアルストロメリアの回でニッコニコ。勉強熱心な放クラがめちゃくちゃ可愛い。果穂ちゃんやチョコ先輩以上に、樹里が凄いキラキラ顔してたのが新しい一面で良かった。あと、後でモヤモヤ1で書く事があるのですが、第8話だけはこの放クラとアルストロメリアがそれぞれの個性を取り入れて成長するというのが唯一分かりやすくある良い回でもありましたね。
とにかく放クラ好きとしては、放クラが出てるシーンは全部良いって事で、盲目に100点あげても良いかなぁとか思うくらいには楽しんだ。
あと、実験的なアニメって所でいうと、第6話のドキュメンタリー撮影のシーンをほぼ全編カメラ映像として描くという試みは面白かった。また、ドキュメンタリーをメインにする事で「W.I.N.G」の模様自体は省略して、「同じ曲、前話で聴いた」問題を見事に回避していたのは、上手いやり方だなぁと思いました。ただ、ここは良し悪しあるなぁとも思いますが。

以下、第2章に対してモヤモヤした事を話していきます。

〇モヤモヤ1:物語の積み上げの無さ
ここで話したい積み上げというのは、キャラクターが努力をしていないとか俺強えなだけとかいう大雑把な話ではなく、物語上のロジック的な積み立ての事です。
例えば、なんでも良いですが、ある目標があった時にそれをクリアするためにやらなければいけないミッションがあるわけじゃないですか?シャニソンの話を先に挙げたので、そこに沿って話すと、ジャニソンのプロデュースではシーズン2の手前に一定のステータスを満たしているとより優秀なアイドルを育てるための夏合宿に行くことができるというシステムがあるのですが、そのステータスを達成するためにはシーズン1でどうステータスを上げていくかを考えなくてはいけません。この話のポイントは、目標というのはどういうものなのか、その目標を達成するためには具体的にどういう課題があり具体的にどう攻略していく必要があるのか、という具体性に富んでいるという事です。
そう考えていくと、第2章では「W.I.N.G.」なるデビューしたばかりのアイドルたちの登竜門的な大会があり、まずそれが目標なわけです。この大会自体の処理についても後々言いたいですが、まず根本的にどういう大会なのか(多分歌唱とダンスを競う大会?)、大会を優勝するとどういう良いことがあるのか、大会後のアイドルたちに「具体的に」どういう変化があるのかが全く分からない。そのため、そのよく分からない大会のためのレッスンというのもイマイチ具体性がなく、いつも通りやってるだけに見える(そもそも、いつも通りが良いのか悪いのかもよく分からないのですけどね。)。結果として、この「W.I.N.G.」周りの描写は全体にフワッとしていて、大会に向かって頑張っているはずなのに、物語全体としてどこに向かっているのかが全然見えないんです。そんな状態でこの大会の話が第7話で終わるわけですが、アイドルたちが何を達成したのか、できなかったのか、何を得たのか、プロデューサーも同じくどうなったのかが、まるで分からないんです。そう考えていくと、このアニメで残るのは仲良しアイドルたちが仲良しを振りまくだけのキャッキャウフフだったなぁと思えてならないのです。

〇モヤモヤ2:マクガフィンとしてのW.I.N.G.
前述した通り、今作では「W.I.N.G.」の具体的な描写が存在しません。「W.I.N.G.」の話を聞いた時は「アイドリープライド」というアニメの事を思い出した。あれもヴィーナスグランプリという大会に優勝する事を目指す話でしたが、あの作品はそのグランプリがクライマックスに来ており、主人公たちがその大会に勝ち進んでいくという構造になっています。この構造は目標と努力が分かりやすく設定できるという美点がある一方で、勝ち負けをはっきり着ける必要があるという課題を持っています。要は、主要キャラとしてライバルがいて、そことの因縁とか闘いになって優劣を決めるという事です。そうした時に、私なんかですとライバルキャラを好きになりがちなので、大抵努力と元気を兼ね備えた主人公に負けるんですよね。まぁ理解はできても複雑な気持ちです。wあと、まぁ負けるにしても、納得できる理由を説明できる事がほとんどないんですよね。そりゃあ、結局好みの差になっちゃいますからね。だから、「アイドルものと大会ものってそんなに相性良くないんじゃないか?」というのが持論です。
アイマスの場合は、それをやるとなると敵とかライバルとかそんなないんで、身内同士の殴り合いになって、かなり苦しいものがありますよね。だから、明確に順位をつけるような事はできなかったんだろうなぁ、というのは理解できます。だから、具体的な結果は出さずにそれぞれのアイドルの反応で観客に悟らせる形式になってるんだろうなぁと。その構造は理解できます。
ただ、結局それをやると、モヤモヤ1でも言及した具体性がまるでない雰囲気盛り上げだけの映像繋ぎになってしまうんだなぁと思いました。つまり、理解できたからって、面白いわけじゃないということです。
しかし、それではダメという自覚はあるのか、この空虚な大会を空虚なままマクガフィンとして利用して、そこに向かうまでのドキュメンタリーの面白さで見せるという試みは前述した通り面白い試みだと思いました。ただ、それは面白いのかもしれないですが、やはり「キャラクターが物語においてどう展開していくのか」という点に関しては一歩も進まないまま2話消費するという話運びにはどうしても疑問は残ります。そこは何とか両立できなかったのかなぁと思わずにはいられません。

〇モヤモヤ3:イルミネーションスターズの空気っぷり
第1章で本当に空気でしかなかったイルミネーションスターズ。第2章でようやくユニット回&デビュー回を迎えられた事自体には素直に「良かったねぇ」という気持ち。ただ、いかんせん味がないというか。他ユニットは既にデビューしているというのがあるので、絵的な映えが明らかに見劣りしてしまう。また、デビュー回というと、ユニット内のキャラ個性がぶつかり、そのユニット独自の色を開拓していくといのが醍醐味だと思うのですが、そこもイルミネの3人がイマイチどういう人たちなのか良く分からず、個性がぶつかるわけでもなく仲良しこよしなので、イルミネが他ユニットと差別化して持つ色っていうがイマイチ見えてこない。ユニットの色というのは、楽曲頼りな所が相当大きい。
御三家というと、ポケモンもそうですが、そんな我の強いキャラクターである事は少ない。キャラクター個人でいる事よりも、その作品全体を総括して象徴する存在でいる事が多いからです。これはアイマスシリーズ全部そうで、特にデレマスの島村卯月はデレマスアイドル全体の象徴で、それ故の個性の無さをイジられてる始末です。では、そんな御三家が作品の中で何故人気たり得ているかといえば、それは物語の中心が御三家にあるからです。言い方を換えれば、「主人公補正」というやつです。
そうした時に、今作のイルミネーションスターズの問題は、彼女たちが物語の中心にいない事です。第1章のユニット回3話からも分かるように、シャニアニはそれぞれのユニットを並行して描く群像劇の側面が非常に強い。群像劇の中心は複数キャラクターを以て表現されるテーマに中心が置かれているため、キャラクター個人に中心は置かれないんです。そうすると、イルミネーションスターズは従来アイマス御三家が担ってきた象徴的キャラクターを失い、無個性だけが残ってしまいます。故に、第2章でもイルミネの立ち位置はよく分からない事になっており、やはり物語上非常に空気な存在になってしまっているなぁと感じました。
主人公というものが、いかに主人公補正によって主人公たり得ているのかが逆説的に分かってしまう、ヤバい作品なんじゃないかなぁと感じました。

〇苦言
やっぱり今作のタイトルロゴとエンディングの軽視は今回も許せなかった。もっとちゃんとやってくれ。あと、エンディングに関しては追加で、インストなのはもういい。フェードアウトはちゃんと最後までフェードさせろ!ブツって切るな!
せめて、テレビ放送を待っている人たちのために、テレビ放送では直してやってくれ。

〇まとめ
放クラは良いよね。
みんなも第3章で放クラを応援しよう!