Jun潤

SAND LANDのJun潤のレビュー・感想・評価

SAND LAND(2023年製作の映画)
3.8
SAND LAND ☆3.8

2023.08.18

鳥山明原作。
原作は2000年に短期集中で連載された作品。
未読ですが予告がめちゃめちゃドラゴンボールっぽくて縁遠い感じはしないですし、やはり日本産アニメコンテンツは観逃せませんね。

砂漠の国、サンドランド。
国民は長年の水不足に喘いでいた。
とある村の保安官・ラオは、わずかな手がかりを元に「幻の泉」を探す旅に出る。
旅のために砂漠にいる魔物たちに声をかけると、魔王サタンの息子である魔物の王子・ベルゼブブと側近のシーフがお供になる。
こうして始まった3人の旅路は、やがて国の根幹とラオの過去に深く関わっていく。

うーん、良くも悪くも“優等生”な作品。
CG作画とシンプルな世界観で完成度は高いものの、観応えや反芻のし甲斐に繋がる深みがどうにも足りなかった印象。
私見だと鳥山明は宮崎駿にはなれなかった。
ロマンやカリスマ、アイドルという点での話なのかもしれません。
しかし今作のボリュームを鑑みるに、原作漫画一作で一つの映画というより、複数の短編漫画をオムニバス形式で同時上映した方が客入りはいいのかななんて思ったり。

まずは作画について。
キャラデザがドラゴンボールやドラクエで見たことある感が強めでした。
そこはまぁ違う作品になっても通用するあたり汎用性の高い良キャラデザだという証明なのかもしれません。
動きについてはCG作画の良さが前面に出ており、粗は無いですが「お、これは」と思える印象に残る場面も無かったように思います。

次にストーリーについて。
水不足という環境は人為的なものか自然的なものか。
それに対して人類は適応するのか抗うのか、にテーマを置いていました。
そこに悪魔の王子という要素が良いスパイスになっていたとも思います。
鑑賞前に軽く原作の概要を調べてみましたが、今作の執筆にあたり鳥山先生が描きたかったのは「老人と戦車」とのこと。
なるほどそう考えるとラオのキャラや、独自性のある戦車デザインには気合の入り様が顕著に表れていました。
not 老害 but 老獪。

大枠的にはドラゴンボールのレッドリボン軍編あたりを思い出しますね。
ドラゴンボール的なキャラの活かし方が機能していなかったあたり、鳥山先生は複数の対立構造を作るのは上手ではないのかも。
とはいえ作画的にもキャラ的にも、現代アニメーション映画の一つの基準となるかなと思ったので、今後のアニメ映画への期待値は上がりますね。
Jun潤

Jun潤