ふぇり

地球は優しいウソでまわってるのふぇりのレビュー・感想・評価

4.2
映画にするほどでもないような、言葉にならない日常のあるあるが詰まっていて良かった。
愛してる人の全てを好きなわけじゃないし意見が合わないこともある、自分が折れておけば丸く収まる些細なことはたくさんあってそれはむしろ愛情からくる嘘なんだけど、じゃあ誠実さとどちらが大切でどちらが相手のためになるのか?と言われると悩むところ。

気に入らないプレゼントを気に入ったフリすることなんて誰にでもある。相手の仕事や決断に同意できない時でも寄り添いたい気持ちもある。それを「嘘つき」と断罪されてしまうのは悲しいことだし、でも自分の意見を偽っていることは事実だし。

主人公夫婦と妹夫婦のそれぞれの仕事の行き詰まりが他人から承認されない小さなストレスの積み重ねであり、少しずつ心が削られていくところもリアルだった。ドンのカウンセリングに来ている人もそうだけど、他人に委ねすぎてしまう危うさについてもちょっと考えさせられた。でも人間なんて弱いからそうやって寄りかかって生きたっていいじゃんね、とも思うけど。

ラストシーンもとても良かったな、大好きな『プライベート・ライフ』のラストを思い出した。『サクセッション』の印象が強いアリアン・モーイエドが気弱な売れない俳優役でメソメソしてるの新鮮でかわいかった。(←「大人にかわいい"adorable"と言わない!」)
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