せんな

白鍵と黒鍵の間にのせんなのレビュー・感想・評価

白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)
4.0
混沌としていて、何がどうなっているの??って混乱するところは多々あったけど、常に音楽にあふれていて、なんだか目が離せない、飽きさせない作品でした。

うだつの上がらないピアニスト・博が、弾いてはいけない「あの曲」、「ゴッド・ファーザー 愛のテーマ」を弾いてしまったことから始まる、一夜の狂騒の物語。博と、唯一「ゴッド・ファーザー」を弾くことが許されたピアニスト・南の2人を中心に物語は展開するけれど、この2人はどう考えても全くの別人ではない。彼らを取り巻く人々との会話から見ても、違う時系列が同時に存在していて、あえてごちゃ混ぜにしているように感じる。過去と未来が行き来し、場面も次々切り替わる。不思議な感覚でした

森田剛演じる、博に「あの曲」を弾かせた張本人の「あいつ」。軽薄な言動なのに、逆らったらタダでは済まない凶暴さを感じさせるその雰囲気。まとう空気が異質なのが初っ端から伝わってきてやっぱり凄い…全ての行動が怖すぎるのに、ある場面では哀れさも感じられて、注目せざるを得ない強烈なインパクトのキャラクターでした。

南と博。二役を演じる池松壮亮。2人がかわるがわる登場するシーンも多かったのに、立ち姿・声の出し方などなどがはっきりと違っていて、全然違う人物になっている、さすがの演じ分けでした

三木さんは出てくるとなんか笑っちゃったな
博と初めて出会う登場シーンではあんなにかっこいいバンマスだったのに、物語が進むにつれ、会長とバンドメンバーたちの板挟みにあう哀しき中間管理職と化していた…三木さんのへらっと笑うあの顔、哀れだけど面白い

クライマックスのセッションはワクワクした!いろんなしがらみを振り切って、ただただみんなで音楽に没頭する時間。すごくハッピーで印象的でした。

ラストのゴミ溜めでの会話も、たくさん意味が込められているんだろうなというのは感じるけど、わたしには理解できなかった…!結局博はあそこから旅立てたってことでいいんだろうか だとしたらあの髭もじゃ姿はどういうこと?わからない…何もわからない…

わからないこと多いストーリーだったけど、それがストレスにはならなかったです。音楽に溢れる狂騒の一夜を、楽しく見届けました。面白かった!
せんな

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