マヒロ

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語のマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
裕福な男ヘンリー・シュガー(ベネディクト・カンバーバッチ)は、たまたま手にした本で「目を使わずに見る方法」を知り、それをギャンブルに悪用することを思いつく……というお話。

ウェス・アンダーソンによるロアルド・ダール原作の短編。最近のウェス作品にありがちな入れ子構造になっており、原作者のロアルド・ダール(レイフ・ファインズ)の語り→ヘンリー・シュガーの物語→ヘンリーが読んだ「目を使わずに見る方法」を語る本の話……という三層構造。
それだけでなくかなり独特の構造になっていて、語り部となる人物が本の地の文を読むかの如くカメラに向かって常に語りかけており、その他の人達はセリフを発したりはするものの基本的に必要最低限の動きしないような形になっている。キャストも5人くらいを使い回しているので同じ人が別のキャラクターとして出てきたり、小道具を渡される瞬間も普通に見せていたりと、映画的な演出をとことん排除したミニマルな作風はウェス・アンダーソン作品のエッセンスの原液という感じがした。

美術の美しさも折り紙付きだし、話も意外な展開を見せたりして面白いんだけど、ひたすらベラベラと喋り続けるという構造自体がどうも馴染まず、個人的にはイマイチだった。監督がそういうスタイルが好きっぽいのでしょうがないが、もっと言葉少なめにしてくれた方が世界観を堪能出来て良いんだけどなぁといつも思う。

(2023.136)
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