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首のmochiのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.3
北野武が大好きになったのは今年に入ってからなので、北野映画を劇場で観るのはこれが初めて。新作が今でもこうしてみられることに喜びしかない。
グロ描写があんまり得意ではないので、ギリギリだった(きついシーンもあった)。一方で、ストーリーがちゃんと面白いので、飽きることなく、楽しく観れた。北野映画は00年代以降の作品はあまり評価されていないので、観ていなかったが、本作は娯楽作品としてとても良い出来に仕上がっていると思う。役者たちの演技も、織田信長以外はさらっとしていて、それが逆に当時の異常性を浮き彫りにしていると思う。
終わり方も良い。どうやって話を終わらせるのかなと思っていたが、ああいうオチを作ってくるとは。首に拘っていった人々の末路が、たくさん描かれていたため、ああいう終わり方によって、今後の秀吉の躍進を感じられる。また、監督北野武が語っていることだと思えば、さらに面白い。
出てくる笑えるシーンも結構個人的には好きだった。あと、合戦のシーンはなかなか迫力あり。やっぱ人数をある程度かけるのは必須条件と感じた。
男色の描写や、書状を売ってくれる人物がいる里の描写などは、あまり普通の歴史映画では描かれないが、ここを非常に不気味に描くことで、物語に深みが増したと思う。北野武の世界観も感じられたし。
まあ00年代以前の北野映画とは違い、考察の余地はあんまりないかな。でも、本能寺の変の解釈それ自体新しいものを実験的に書いているし、先述した男色のシーンや信長のキャラなど、オリジナリティはところどころ感じられた。あと、何気に千利休が結構政治的な動きをしてるというのも、比較的オリジナルに感じた。徳川家康と信長、荒木村重、そして茂助は良かった。あと、思ったより北野武の秀吉は違和感なく見れた。
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