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ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記のmochiのレビュー・感想・評価

3.3
急に頭空っぽで楽しめる映画を見たくなったので、鑑賞。藤子・F・不二雄先生が途中まで書いていた作品で、亡くなったあとスタッフが完成させたもの。そのせいもあるのか、ちょっとテーマと話の軸が多すぎた。特に「種蒔くもの」が話に本質的に絡んでこないのはどうなんだろう。最終的には前科100犯vsドラえもん一味という感じで、地球人同士の争いに帰着してしまうのが、話のスケールという意味でも残念だった。
猿がネジを持ち出してしまい、色々なものに命を吹き込んで、連れてきてしまうという描写は、人間が道具を使うようになった事実を辿っているだけではなく、神の道具であった火を人間が使うようになったというギリシャ神話的世界観の、オマージュなのかもしれない。さすれば、ドラえもん一味は神か。それ以外にも、市長や民主主義の発展、自然保護とエネルギー問題など、重要なテーマがたくさん散りばめられている。ドラえもん一味も、最初の頃は星を思い切り汚しても良い、ぬいぐるみたちは民主主義のまねごと、と発言するなど、誤った発言をわざとさせている節があって、その点も非常に興味深い。それでも彼らは、自分たちが作った世界でさえ、自分たちの思い通りには統制できないし、すべきでないことを知っていく様はなかなか面白い。
まあでもなぁ。生命のないものに生命を与えるってどういうことかわからんしなぁ。あと、いくらクズ星でも勝手に生態系を作ったり、生命のないものに生命を与えたり、最後複数の人間を1人にするとか、色々問題がありそうなところをすっ飛ばしすぎてて、その点はちょっとなぁ。あと、先述したようにテーマが多いのはいいんだけど、絞れてないから焦点はボケてる気がする。
エンディングテーマはまさかの矢沢永吉。
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